腕立て伏せを十分な強度で行えば、テストステロンは自然に増加します。Image Credit:Ivanko_Brnjakovic/iStock/Getty Images
テストステロンは同化ホルモンの王様で、筋肉の成長を促し、既存の筋肉を維持する役割を担っています。 あまりに強力なため、同化ステロイドとして知られる人工的な形で摂取することは違法とされています。 テストステロンは男性の性ホルモンで、人をより強く、より攻撃的にすることで知られていますが、女性も同様にテストステロンを分泌しています。 腕立て伏せのようなレジスタンス運動は、 テストステロンのレベルを自然に高めます。
テストステロン値は1日の中で自然に変化し、生 活の中で徐々に低下していきます。 腕立て伏せのような抵抗運動は、テストステロンを自然に増加させます。 しかし、腕立て伏せは、大きな筋肉を使 う下半身の運動よりもテストステロンの産生を促 進するわけではありません。 腕立て伏せのワークアウトを行う場合は、できるだけ多くのセットと反復を行うことを目標にしましょう。
テストステロンの基本
男性も女性もテストステロンを産生しますが、男性の方がかなり多く産生します。 男性は睾丸から、女性は卵巣と腎臓の上にある副腎からテストステロンを分泌します。 体内で産生されたテストステロンのほとんどは、体内の タンパク質とくっついており、血液中に浮遊しているテストステロンは、わずか 2%程度です。
このわずかな割合のテストステロンが、研究者 が通常、毎日経験するテストステロンの変化を測定 するために使用するものです。 男性にも女性にも、生涯を通じて上下する自然な テストステロンの範囲があります。 例えば、男女とも朝は夕方よりテストステロン値が高くなる傾向があります。
年齢とテストステロン
テストステロンレベルは加齢によっても変化します。 英国泌尿器科学会誌(British Journal of Urology)に掲載された、加齢に伴う男性のテストステロン値を調査した研究によると、男性の場合、19歳ごろにピークを迎えます。 女性は20代のある時点でテストステロンがピークに達します。 加齢に伴い、テストステロンレベルは緩やかに低下しますが、その低下がある年齢で止まるのか、生涯続くのかは不明です。
テストステロンの低下
男女ともに、テストステロン値が低すぎたり高す ぎたりすることはあります。 男性の場合、テストステロンが低いと骨粗しょう症、性欲減退、さらには糖尿病や肥満などの代謝障害を引き起こす可能性があります。 2002年にWorld Journal of Urology誌に掲載された研究によると、女性でもテストステロンの低下は性欲減退や疲労の原因となります。
レジスタンス運動とテストステロン
低テストステロンの影響を治すことはできませんが、レジスタンス運動はテストステロンレベルを増加させます。 2010年にSports Medicine誌に掲載された総説によると、レジスタンス運動が男女に及ぼす影響を明らかにするために114の異なる研究の結果をまとめたものです。
このレビューによると、強度、セット数、レップ数、運動の種類はすべて、テストステロンの分泌量に寄与するとのこと。 重い重量を持ち上げれば持ち上げるほど、テストステロンの増加が大きくなることがわかりました。
2005年にEuropean Journal of Applied Physiologyに掲載された研究によると、スクワット運動を10回×4セット行う方が、3回×11セット行うよりも、より多くの重量で行う方が、より多くのテストステロンを分泌することがわかりました。 反復回数が多いセットの方が、テストステロンを増やすのに優れていることが証明されたのです。
より多くのセットと反復回数が、より多くのテストステロンを刺激するImage Credit:MisterDelirious/iStock/Getty Images
エクササイズに大きな筋肉をたくさん取り入れると、テストステロンがより多く分泌されます。 腕立て伏せで使われる筋肉は、脚の運動で使われる筋肉よりもはるかに小さいため、テストステロンを上げるのに、腕立て伏せはスクワットほど効果的ではないということです。 Encyclopedia of Sports Medicine(スポーツ医学百科事典)』の第3巻では、テストステロンを増やしたいのであれば、デッドリフトやスクワットのような、筋肉をたくさん使うエクササイズを選ぶ必要があると著者は説明しています。 言い換えれば、テストステロンを大きく上昇させたいのであれば、腕立て伏せでは不十分で、もっと全身を使うエクササイズが必要だということです。